おもてなしの言葉6

日本には謙遜の言葉がたくさんありますね。

この言葉もその一つです。

「ほんのお口汚しですが。」

今この言葉を使える人がいるでしょうか。

「お口汚し」というのは、口の中を汚すまずいものという意味ではなく、

口の中を汚すだけのほんのわずかな量という意味です。

お土産を買ってきて人様に差し上げるとき、

お酒の肴としておつまみを出すとき(大皿ではなく小皿料理)、

などに使います。

そろそろバレンタインを意識する時期になりました。

手作りのチョコレートやクッキーなどを

「ほんのお口汚しですが。」

と言いながら、

チョコレートやクッキーの大好きな年長者や目上の方にお渡ししたら、

お口に合わないかもしれませんが、

心を込めて一生懸命作りましたので、

どうぞ召し上がってくださいね、

という謙遜を込めた表現になります。

同世代の友達に使うにはちょっと不向きかもしれません。

でも、知っておくと、いざという時には

さりげない奥ゆかしさを発揮できると思います。

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おもてなしの言葉5

昭和の時代までは、女性は花嫁修行としてお茶にお花・・が必須といわれ、

人を家にお招きするのがごく普通のことでした。

現代はホテルなどの非日常の場所で集うことが多くなりました。

ですから、家庭にお客様をお招きして、手料理でおもてなしをする機会も少なくなりました。

「お口に合いますかどうか・・・」

そんな言葉もそういえばあったなあ~という程度で忘れ去られているように思います。

お客様の味覚に合うかどうかわかりませんが、

もてなす側としては、精一杯のご馳走をご用意いたしました。

目には見えませんが、下ごしらえにも心をくだきました。

その結果はいかがでしょうか。

お客様がどのように感じてくださるか、不安半分、緊張半分の心持ちです。

「お口に合いますかどうか・・・」

と、そんなシチュエーションで言われたら、

お客は、もし自分の好みの味ではないにせよ、

私のために用意してくれたのだなあと、

心から幸せな気持ちになりますよね。

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おもてなしの言葉4

お店や喫茶店に入ってお茶をお出された後、

「どうぞごゆるりと」とか、

「どうぞごゆっくり」と言われると、

ほっとする気持ちになりますね

日本語は不思議です。

「ゆ」とつく言葉には、何かリラックス効果の言葉がたくさんあります。

「ゆっくり」「ゆるやか」「ゆとり」「湯」など、

副交感神経を休めるような、そんな言葉がたくさんあります。

そこに「ご」とか「お」をつけて日常の中で使っています。

「ごゆるりと」で、手足を伸ばしてくださいと、

「ごゆっくり」で、時間に制約はありませんよと、

そんな相手の思いが伝わってきますね。

どちらも言われると、嬉しくなる言葉です。

早速今日から使ってみましょう。

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おもてなしの言葉3

我が家へお客様をお迎えするとき、

「どうぞお上がりください。」

と言いますね。

丁寧な言葉です。

玄関で履いている履物を脱いでいただき、

一歩、二歩と上がり框(かまち)から上がってくださいと、

そんな意味も込められていますね。

「どうぞお入りください。」というのも

よく使われる言葉ですが、

これは履物を履いたまま入っていただく、

お店や事務所、会社などにふさわしい言葉ですね。

外国では靴を履いたまま個人宅に入りますので、

この言葉のほうがしっくりきます。

さて、お客様に親しみと歓待の思いを込めて、

「どうぞお上がりください。」と、

さらりと言えるようになりたいものです。

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おもてなしの言葉2

空港で外人さんをお迎えする言葉。

「ようこそ、日本へ!」

空港でよく見かけますね。

帰国してきた日本人でさえ、嬉しくなります。

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 お客様をお迎えするとき、

「ようこそ」に続いて「おいでくださいました。」

というのが最初のおもてなしの言葉ですね。

「ようこそ、おいでくださいました。」

「ようこそ、いらっしゃいました。」

さらに、こんな歓迎の言葉もあります。

「ようこそ、お運びくださいました。」

「お運び」には、遠方より足をここまで運んでくださった、その労力や時間、費用など全部をひっくるめて感謝とねぎらいの気持ちを表す言葉です。

ここまで来てくれるのは当然でしょうなどという思いは微塵も感じさせません。

ただただ相手を思いやる気持ちのみです。

「本日はお足元の悪い中」というふうに、雨や雪の日には言いますね。

防寒をし、傘を差しながらも 衣服や履物などを濡らし、時間を割いて、ここまでおいでくださった、なんてありがたいことなんだろうという思いが込められていますね。

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どんな方に対しても、心のこもった歓迎の言葉

「ようこそ、お運びくださいました。」を使いたいものです。

後日お礼状には、

「ようこそのお運び、厚く御礼申し上げます。」

なんて、さらりと書けたら、かっこいいですね。

番傘


おもてなしの言葉1

「もてなし」の丁寧語は「おもてなし」

この言葉はオリンピック招致のプレゼンの時の滝川クリステル
さんによって、
本当に有名になりましたね。

「お」「も」「て」「な」「し」のジェスチャーも流行しました。

「おもてなし」は「表がない」ことに通じます。

「裏表がない心」を表します。

ということは、真心を持って相手を歓待する誠意をそのまま表現することになります。

それは日常のごく普通の心のあり方にも通じるように思います。

お客様を迎える時の言葉

 「お待ちしていました。」

お茶のお稽古に出向いて、師匠の前で「今日もよろしくお願いします。」と

一礼するときに、いつも 「お待ちしていました。」と、

 この言葉をおっしゃってくださいます。

ああ、待っていてくださったのだなあと、毎回この言葉を聞くたびに感激します。

電車を乗り継いで、やっと辿り着いた師匠の家で最初に語りかけていただく言葉。

  「お待ちしていました。」

 素敵なおもてなしの言葉です。

人は真心のこもった言葉によって癒されますね。

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