たしなみの言葉19「とりもつ」

今日もご訪問くださいまして、ありがとうございます。

今日は「とりもつ」をお送りします。

前回の「とりなす」と似ているように見えますが、

実は違いがあります。

「とりなす」は、仲違いしている間柄の両者にアクションを起こすことでしたが、

「とりもつ」は、両者の関係性が悪いわけではない場合にも使います。

まだ出会ってない二人を引き合わせたり、

今のところ二人とも関心がないかもしれないけれども、

将来きっとよきパートナーになるだろうと、

よい間柄をつくる橋渡しをすることを指します。

「とりなす」は、仲裁や調停、和解の場合に使いますが、

「とりもつ」は、仲介する場合に用いますね。

どこかの集まりに参加したとき、

きっと二人とも将来お互いにいい関係になりますよと、

和の仕事をなさっている方を紹介されることがあります。

そこで思わぬ出会いをいただき、

その方とのご縁を大切にしていると、

素晴らしく発展していくことがありますね。

逆に、私の講座で出会ったお二人が

いつの間にか互いに交流を深めていらっしゃることも多くあります。

とても嬉しいことです。

それぞれの良さが引き合い、お互いが発展されていくことは、

素晴らしいことです。

人と人とのご縁は、不思議なものです。

「とりもって」くださった方をいつも感謝できる自分でありたいものです。

そして、よいご縁を「とりもつ」

人に喜ばれる愛のキューピットでありたいものですね。

サツキ


たしなみの言葉18「とりなす」

父と兄がけんかをして、

二人とも、もう二日も口をきいていない時、

「妹が間に入ってとりなした。」

こんなケースは日常茶飯事にありますね。

もともと中が良かった間柄にひびが入りそうになって、

第三者が間に入って仲直りをさせることです。

「とりなし」

仲裁や調停と同じように、対立している両者の間に入ることですが、

「取り成し」「執り成し」と書きますので、

その場をうまくまとめたり、その関係を良好なものにしようという意図が強いものです。

仲裁、調停、和解は裁判の場でも使われていますね。

「法的なとりなし」が法律の中に組み込まれ、調停や和解で解決するのは日本独特のものです。

「丸くおさめる」という言葉があるように、

決して対立で終わらせない円満に解決する、

ともに手を携えて生きるという日本の精神性が

その根底に流れています。

自然とは決して対立せず、

自然も人もすべて一つのものと捉える日本人の脳の働きが

自然にそうさせるのでしょう。

周りで何か不穏な関係が始まっても、

あなたの「とりなし」で状況が変わります。

素敵な一週間を創っていきましょう。

かすみ草


たしなみの言葉17「目もあやな」

なかなか普段は使えない言葉

「目もあやな」

「週末のパーティーに、ど派手な赤のワンピースを着ていくわ。」

「ど派手」に相当する言葉ですね。

「ど派手な演出」「ど派手な宣伝」などと使っていますが、

大和言葉で、より激しく美しい表現が

「目もあやな」です。

「目もあや」の「あや」は「綾」「彩」と、

美しい模様が目に映るようなイメージが浮かんできましが、

実は、この「あや」は、

「怪しい」の「あや」です。

衣装や飾り付けがきらびやかで、目がチカチカするためにまともに見ることができない。

それほど派手で美しい。まばゆくて目も開けていられないほどに美しい。

「ど派手」というと、マイナスのイメージもありますが、

「目もあや」は、

目もさめるほどにきらびやかな様を連想させますね。

竹の中から出てきた「目もあやな」かぐや姫を

見つけたときのおじいさんとおばあさんの感動はいかばかりだったか・・・。

かぐや姫の「目もあやな」優しいオーラは

多くの人をとりこにしたのですね。

女性は、そんな「目もあやな」魅力をだれしも持っているのではないでしょうか。

男性は、女性に「目もあやな衣装ですね。」と、褒めてさしあげたら、

ワンランク、株が上がるかもしれませんよ。

ピンクの花


たしなみの言葉16「腕によりをかける」

「今夜は腕によりをかけてお料理を作るから、

是非遊びに来てね。」

と、電話やメールこの言葉を受け取ったら、

心がワクワク浮きたちますね。

ホテルなどの外食でお客様をもてなすことが多くなった昨今ですが、

自宅で手料理でもてなすことが新鮮に響き、しかも親近感を覚えますね。

 

お互いが膝を交えて、一層親密にに、しかも温もりの中でともに

時間を共有できる幸せを感じます。

「腕によりをかける」

「より」とは、「縒ること」「撚ること」です。

数本の糸をねじり合わせて一本の強い糸をつくることです。

この「よりをかける」は、ご馳走をつくるときに使うのが大方ですね。

「一生懸命」「気合を入れる」の意気込みを

「腕によりをかける」と表現するのは、面白いですね。

 

大事な人のために、

「腕によりをかけて」

お料理をつくりたいものですね。

ハナミズキ

 


たしなみの言葉15「お似合いですね」

時々お会いする方でも、

同じ場所でともに仕事をしている方でも、

全くお話をしたことがないという方がいるものです。

今日こそは自分から一言、何かを切り出してその方と会話をしたい。

そんなことがありますね。

そんな時、

その方の装いを褒めてみたら、いかがでしょうか。

 

「その色、お似合いですね。」

「春らしい素敵なピンクですね。」

 

すると、相手の方は、

「あら、派手かしら・・。」

「実は娘からのプレゼントです・・。」

などと、ちょっとてれながらも、笑顔でこたえてくれます。

 

人々はみな日々装いをします。

話のきっかけに、

心からの自分の言葉で、

相手の装いについて語ったとき、

新しい交流のきっかけが生まれますね。

 

内気でなかなか自分から切り出せないなあと

思う方も、

思い切って相手に語りかけることで、

コミュニケーションがそこから始まるものです。

 

「お似合いですね。」

 

「装い」への言葉、

今日も相手の方に思い切って語りかけてみませんか。

6d5821656964d5e00ace4ea8b284c2bc_s


たしなみの言葉14「紅を差す」


最近「紅を差すという言葉をあまり使わなくなりました。

リップスティックを使って「口紅を塗る」「ルージュを塗る」

というのが今では一般的な表現になっていますね。

現在普通に使われている言葉は「口紅を塗る」ですね。

「ペンキを塗る」ごとく、

平面的に均一に仕上げるようなニュアンスがあります。

江戸の時代、紅は高価なものでした。

江戸女性は地味な着物に決め色の赤をどこかに身にまとい、

顔はスッピンに赤い紅を引く。

それがお洒落だったようです。

紅は、自分の指を使って、

しかも普段あまり使わない薬指を「紅差し指」として

使っていました。

紅は「塗る」ものではなくて、

「差す」ものであり、「引く」もの。

紅を差すと、顔が一瞬にして

ぱっと華やかになります。

お化粧をしている本人の心が浮き立つ瞬間です。

合わせ鏡を使って身支度を整えて、紅を差す女性の光景は

ほんのりとした色気をイメージさせてくれますね。

こんな仕草をするのは舞妓さんでしょうか。

お化粧も女性のたしなみ。

「紅を差して、」

今週も明るくスタートしましょう。

赤い花


たしなみの言葉13「いましがた」

ちょっと古風な言い方ですが、

「たった今」「ほんの少し前」ということを

「いましがた」

と表現していみたらいかがでしょう。

「いましがた」「今し方」

「し」は強調のための助詞で、

「方」は時間的な方向の意味合いから頃、時節のこと、

「今」は、この場合、ごく最近の過去のこと。

「いましがた電話がありました。」

「いましがた戻りました。」

など、メールなどのやりとりの中で使うと、

古風な品の良さや凛々しさなどが

相手に伝わります。

営業から会社に戻ったときに、

「たった今戻りました。」

と言うよりも、

「いましがた戻りました。」

「いましがた」を使うと、

話している自分自身も、

どことなく背筋がピンと伸びるような感覚になると思います。

「いましがた」

響きがいいですね。

使ってみませんか。

満開の桜と緑色の洋館


たしなみの言葉12「お心にかけていただき」

常日ごろ交流がある方に対して、

こんな言葉も素敵な表現ですね。

「日ごろは何かとお心にかけていただき、ありがとうございます。」

相手の方が年上の方だったり、

ビジネスで何かとお世話になっている方だったり、

ご近所の方だったり、などなど、

その方たちにこの言葉を使うと、その場が 和やかな雰囲気に満たされます。

お互いに笑顔で次の言葉やお願い事などもスムーズになりますね。

やはり、言葉は口だけではなくて、

心から真心の言葉を発することで相手の方に通じます。

相手の方に感謝の思いがあれば、

「お心にかけていただき、」

と、さりげなく出てくるでしょう。

大勢の周囲の人たちに支えられて生きていることに感謝を込めて、

広い範囲の知人の方に使える感謝の言葉、

 「日ごろは何かとお心にかけていただき、ありがとうございます。」

を、さりげなく使えたら最高ですね。

紫のサクラソウ


たしなみの言葉11「日ごろは何かと」

常日ごろ、相手の方と交わす言葉を大事にしたいものですね。

日常的に交流がある方に対して、

また、普段しばしばお仕事上で関わる方に対して、

「日ごろは何かとお世話になりまして、ありがとうございます。」

と、大事なお話の前に付け加えると、場が和らぎますね。

よく電話で挨拶代わりにはじめに交わす言葉として

「お世話になります。」と言いますが、

「日ごろは~」という言葉を入れると、より丁寧に聞こえます。

 

もう少しかしこまった表現だと、

「日ごろは何かにつけてご厚情を賜り、ありがとうございます。」

となります。いかがですか。

これは手紙にも使える表現ですね。

なごみのある美しいやまと言葉を、存分に使いましょう。

睡蓮黄