たしなみの言葉5

「あの人とは親しい間柄です。」

という親しい関係、遠慮なくなんでも話せる表現として、

「あの人とは心安い間柄です。」

という言い方があります。

「心」という言葉が入ると、

親しみやすく気がおけない、遠慮がない、気心がわかっている、

というように、お互いが打ち解けあっている様子が伝わってきます。

文学作品の中でもこんな風に使われています。

「出迎をした親類や心安い人の中には、」  森鴎外『かのように』

「どっかに心安い安らかな思いのこもった響でその余韻には鋭い皮肉がふくまれて」  宮本百合子『千世子(三)』

「心安い」

「心安い間柄」

柔らかい言葉です。

使ってみてくださいね。

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たしなみの言葉4

「とかく日本の古典芸能は敷居が高くて

能も歌舞伎にも接する機会がないわ。

ついつい使っていませんか。

「敷居が高い。」

「自分には分不相応だ」「手が届かない」とか「格式が高い」

の意味に使われているのがほとんどです。

この慣用句は誤った使われ方をしている代表格だそうです。

「敷居が高い。」とは、

友人や知人、親戚など、世話になっている方に十分なお礼をしていなかったり、迷惑をかけたのにお詫びもしていなかったため、それが心苦しくて家を訪問しづらいという心境のことをいいます。

「敷居」は玄関の戸が乗る台のことです。

以前は楽にまたいでいたのに、今は心に引っかかるものがあって、敷居が高く感じられるというのです。

最近では敷居がないバリアフリータイプの家が多くなりましたので、「敷居」という言葉も実感がなくなりましたね。

心苦しく思っている相手にばったり出会ったら、

素直に、想いを伝え、謝りましょう。

「敷居が高くて、伺えずにいました。ごめんなさい。」と。

相手の人は、意外に気にしてはいなかったりするものです。

何と言っても、その言葉を話す自分自身が一番心がスッとするでしょうね。

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たしなみの言葉3

「昨日はお足元の悪い中、お運びくださいまして、
誠にありがとうございました。」

昨日は和のたしな美庵で、お呈茶と「太陰太陽暦」のお話、

ご参加くださった方々からのホットなニュースのシェアなど、

盛りだくさんの楽しい会をいたしました。

ご参加いただいた方に喜んでいただく、

また行きたいわと思っていただく、

なんと難しいことでしょう。

そこに思いを向けることが

まさに「おもてなし」なのですね。

私も日々皆様からいつも学ばせていただいています。

********

いろんな講座やイベントを企画して、皆様をお誘いし、

お返事をお待ちするとき、

「お返事を心待ちにしています。」

という表現を使うと、

言葉だけではなく、

あなたの存在を大切にしているのですよ、

是非その場を共有したいのですよ、

と、心から思っていることが、

「心待ち」という言葉に表すことができます。

ビジネスでも、先方のお返事を待つときに、

メールや電話で、

「心待ちにしています。」と、

さりげなく使いたいですね。

言葉の柔らかさが相手の方の心に伝わります。

先方の方もきっとゴーサインをくださることでしょう。

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次回のお茶会は、

3月7日(土)13:30〜15:30

3月22日(日)13:30〜15:30 です。

http://derivejapan.com/lessons/schdule/course/taiinreki/

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たしなみの言葉2

親しい友人の間柄であれば、話の途中で

突然なんですけど、今度結婚することになりました。」

なんて言ってもあまり相手に嫌な感じを与えません。

でも、仕事の場合、

オフィスで話の途中や会議中、喫茶店で商談中など、

話の最中に

「突然ですみません。」

と言うよりも、

「私事で恐縮ですが、」

「私事で申し訳ありませんが、」

と前置きをしてから、

「実は転居しまして」とか

「母が病気で入院することになりまして」

と話すほうが、相手にビジネスマンとしての立ち位置と自分の胸の内を伝える思いが伝わりますよね。

「私事で恐縮ですが、」

と、即座に大人の言葉が使えるようになりたいですね。

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たしなみの言葉1

「続けざま」

この言葉は、言葉としては聞いたことがあっても、いざ使うとなると使いにくいかもしれません。

「続けざま」は、

1)続けて同じことが繰り返されるさま。(続けざまに踏切で事故が起きた。)

2)同じ動作がひき続いてやまないさま。(敵の

敵の応酬が続けざまにやってきた。

3)連続するさま。(電話の音が続けざまに鳴り響いた。)

こんな用例が考えられますが。

「続けざま」に助詞の「に」がつく使われ方がほとんどですね。

********

ですから、

「続けざまですみません。」と、

助詞の「で」をつけて、

こんな言い方をしたら、素敵ですね。

オフィスで相手先に、

同じファックスを連続して何度も流してしまったとか、

メールで用件を立て続けに何度かにわたって送ってしまったとか、

同じく、ああ、これもあれもと、数分ごとに電話で何度も尋ねてしまったとか。

こんな経験がありますよね。

そんなときにこの言葉

「続けざまですみません。」

「続けざまの電話で申し訳ありません。」

の心からの一言を添えると、

こちらの謝罪の思いがぐっと伝わり、相手もまあ、しようがないかという気持ちになりますよ。

是非使ってみてくださいね。

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おもてなしの言葉8

「しばしお待ちください」

「しばしお待ちを」

耳にする言葉ではありますが、なかなか普段は使わなくなりました。

天津風(あまつかぜ) 雲の通ひ路(かよひじ) 吹き閉ぢよ

   をとめの姿 しばしとどめむ

と、百人一首にあります。

古今和歌集におさめられた僧正遍照作の一首です。

天を吹く風よ、天女たちが帰っていく雲の中の通り道を吹き閉ざしてくれ。

乙女たちの美しい舞姿を、もうしばらく地上に留めておきたいのだ。

新嘗祭(にいなめさい)の翌日、「豊明節会(とよのあかりのせちえ)」の宴の後に舞楽を舞う5人の公家の娘たちを天女に見立てているのです。

ああ、もうしばらくこの美しい乙女たちの舞姿をみていたいという思いですね。

********

「しばし」という言葉がこの和歌が作られた平安時代の貞観11年(869)に使われています。

この時代から、今までずっと同じ意味で使われているのですね。

「しばしの別れ」

「しばし待て」

などちょっと古風な感じがしますが、

上司にあれはどうしたと問われたとき、お客様をお待たせしているとき、

「しばしお待ちください」

「しばしお待ちを」

なんて言えたら、慌ただしさの中にも古風な落ち着きを相手の方に感じさせますね。

ぜひ使ってみてくださいね。

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おもてなしの言葉7

先日、”和のたしな美塾”開講1周年を祝して新年会を催すことができました。

皆様のおかげです。心から感謝いたします。

「祝して」という言葉が私は大好きです。

ご祝儀舞踊の歌詞にも、この言葉がよく使われます。

日常に使いなれた言葉「祝う」をさらに高めた言葉が

「ことほぐ(言祝ぐ・寿ぐ)」です。

古代日本では、祝いの言葉を述べる事を「ことほぐ(言祝ぐ)」といい、

「こと」は「言」、「ほぐ」は動詞「祝く(ほく)」を意味します

これは、もともとは漢字の「寿詞や寿賀」に由来したもので、

「ことほぐ(言祝ぐ)」を「寿」の訓としましたので、

「言祝ぐ」とも「寿ぐ」とも書くようになったのです。

この言葉には、

 言葉を口にすることによって、幸福を招き入れるという言霊思想が宿っています。

平安時代以降、「ことほく」から「寿ぐ・言祝ぐ(ことほぐ)」や「寿く(ことぶく)」ともいうようになり、

「ことぶく」の連用形が名詞化して「ことぶき」になったということです。

「ことほぐ(言祝ぐ・寿ぐ)」には、

 おめでたい言葉を口にすると、本当に幸せが訪れると、

そういう先人の思いが込められていたのです。

立春を迎えましたね。

「春の訪れを言祝ぐ」

結婚式で、新郎新婦に対して、

「ご結婚を言祝ぎ、舞をひとさし・・・」

日本は発する言葉に特別の力があるとして、言葉を大切にしてきた国です。

この「ことほぐ(言祝ぐ・寿ぐ)」にも、

相手に対する末広がりの幸福や長寿を願う優しい思いが込められ

ていることを覚えておいてくださいね。

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おもてなしの言葉6

日本には謙遜の言葉がたくさんありますね。

この言葉もその一つです。

「ほんのお口汚しですが。」

今この言葉を使える人がいるでしょうか。

「お口汚し」というのは、口の中を汚すまずいものという意味ではなく、

口の中を汚すだけのほんのわずかな量という意味です。

お土産を買ってきて人様に差し上げるとき、

お酒の肴としておつまみを出すとき(大皿ではなく小皿料理)、

などに使います。

そろそろバレンタインを意識する時期になりました。

手作りのチョコレートやクッキーなどを

「ほんのお口汚しですが。」

と言いながら、

チョコレートやクッキーの大好きな年長者や目上の方にお渡ししたら、

お口に合わないかもしれませんが、

心を込めて一生懸命作りましたので、

どうぞ召し上がってくださいね、

という謙遜を込めた表現になります。

同世代の友達に使うにはちょっと不向きかもしれません。

でも、知っておくと、いざという時には

さりげない奥ゆかしさを発揮できると思います。

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おもてなしの言葉5

昭和の時代までは、女性は花嫁修行としてお茶にお花・・が必須といわれ、

人を家にお招きするのがごく普通のことでした。

現代はホテルなどの非日常の場所で集うことが多くなりました。

ですから、家庭にお客様をお招きして、手料理でおもてなしをする機会も少なくなりました。

「お口に合いますかどうか・・・」

そんな言葉もそういえばあったなあ~という程度で忘れ去られているように思います。

お客様の味覚に合うかどうかわかりませんが、

もてなす側としては、精一杯のご馳走をご用意いたしました。

目には見えませんが、下ごしらえにも心をくだきました。

その結果はいかがでしょうか。

お客様がどのように感じてくださるか、不安半分、緊張半分の心持ちです。

「お口に合いますかどうか・・・」

と、そんなシチュエーションで言われたら、

お客は、もし自分の好みの味ではないにせよ、

私のために用意してくれたのだなあと、

心から幸せな気持ちになりますよね。

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おもてなしの言葉4

お店や喫茶店に入ってお茶をお出された後、

「どうぞごゆるりと」とか、

「どうぞごゆっくり」と言われると、

ほっとする気持ちになりますね

日本語は不思議です。

「ゆ」とつく言葉には、何かリラックス効果の言葉がたくさんあります。

「ゆっくり」「ゆるやか」「ゆとり」「湯」など、

副交感神経を休めるような、そんな言葉がたくさんあります。

そこに「ご」とか「お」をつけて日常の中で使っています。

「ごゆるりと」で、手足を伸ばしてくださいと、

「ごゆっくり」で、時間に制約はありませんよと、

そんな相手の思いが伝わってきますね。

どちらも言われると、嬉しくなる言葉です。

早速今日から使ってみましょう。

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